有料老人ホーム紹介のケアレジ ワタミの介護(株)の介護サービス評価は? 社内研修見学レポート

ワタミの介護 認知症研修見学レポート

テーマ

認知症特別スキルアップ研修

~2011年7月(本社セミナールーム)~

講師:ワタミの介護株式会社 碓井信輝氏

ワタミの介護といえば、食事がおいしく、雰囲気が明るいと評判の施設ですが、専門的な認知症介護についても先進的な取り組みをしているとのことで、職員研修の模様を見学させてもらいました。

7月某日、午後3時、大田区羽田にある本社セミナールームに集まったのは、各施設のホーム長や介護職の皆さん。その数は167名に達しました。

講師は、ワタミの介護運営サービス部、医療・介護サポート課の課長である碓井信輝氏です。碓井氏は、ケアマネジャー、精神保健福祉士、認知症ケア専門士の資格をもつ、認知症介護のエキスパートです。

認知症介護への取り組みの姿勢

このような認知症介護に関する研修は定期的におこなわれていて、今回の研修にも複数回参加している職員の方も大勢いらっしゃいました。

講師である碓井氏の、滑らかで軽快な話法で始まった講義に、受講者もどんどん引き込まれていく様子がうかがえました。

研修風景

介護保険制度の動向や、認知症高齢者の数や推移といった基本的な状況を確認した後、ワタミの介護が認知症介護にどのように取り組んでいくかという点について説明。

認知症はありふれた病気であって、怖い病気ではない、認知症の定義、早期発見、早期対応の重要性などについて解説がありました。特に認知症の定義については、全社員が答えられるようになることを強調。暗記できた職員には碓井氏オリジナルの「認定証」が授与されるというモチベーションを高める仕組みになっています。

この後、認知症、特にアルツハイマー型認知症の症状と経過等に関する説明があり、BPSD出現の原因には、記憶・認知機能などの低下にプラスして、身体不調や不安感などが関係しており、それらの原因を解決する介護職員の関わりの重要性など、認知症の基本的な知識を全職員に知ってもらおうとする努力が伝わってきました。

FASTを使ってアセスメント

認知症の方のケアプランを考えるにあたり、アセスメントが重要なことは言うまでもありませんが、同社では「FAST」というツールを定着させようとしています。FASTとは聞き慣れない名称ですが、Functional Assessment Stagingの略で、認知症の症状を1から7までのステージに分け、それぞれの段階ごとに臨床的特徴を示しているツールです。

現在、定着している「認知症高齢者の日常生活自立度」と比較すると、「風呂から出た後もきちんと身体を拭くことができない」など症状がかなり具体的に記載されているので、アセスメントしやすいという印象を受けます。

このFASTでアセスメントし、該当した項目に対してケアプランを考えていくという方法も合理的です。例えば、前述した「風呂から出た後身体をふくことができない」に該当すれば、入浴後、バスタオルを手渡す、身体をお拭きする、バスタオルが認識できるよう声かけするというように、適切な介護内容が導き出されます。

FAST導入の効果について、碓井氏は適切な状態把握によって、職員間で情報を共有でき、統一的な介護が可能になると説明。またご家族への説明に利用することで、円滑な理解が可能になったという例を紹介し、現場への定着を呼び掛けていました。

HDS-Rとリアリティオリエンテーション

HDS-Rは長谷川式簡易知能評価スケールといわれるもので、医療や介護の現場でかなり普及しているものです。この研修では受講者が2人一組になってHDS-Rを実際に使ってみるということがおこなわれました。その上で、このスケールで出た点数のみに注目するのではなく、検査時の本人の表情や態度などを観察して、それを介護に活かすことが強調されていました。また、「テスト」や「質問」と聞くと誰でもイヤなものであること、このスケールは医者でなくても評価できることを挙げ、できるだけ日常会話の中で何気なく聞き取り、答えられないようであればどのような反応があるのかを記録に残すことも大切だと話されました。

日時の見当識が失われている人が質問されて険しい表情をしているのであれば、単に日時を尋ねるのは本人にストレスを与えるだけなので、「今日は○月○日ですよ」等と失った機能を補うような声かけをするなど、合理的で実用的な使用方法を提唱していました。

リアリティオリエンテーションも、あまり聞き慣れない言葉ですが、現実見当識訓練と訳され、RO(Reality Orientationの略)と呼ばれることもあるそうです。主に、時間や場所、人物に対する見当識障害を有する認知症高齢者に対して、現実認識を深めることを目的とした療法です。

少人数が集まって、スタッフがプログラムに沿っておこなわれる「クラスルームRO」と、日常生活の中の基本的なコミュニケーションの中で、スタッフによるコミュニケーションや働きかけを通しておこなわれる「24時間RO」の2種類があるそうです。

このような先進的な認知症介護を、実際の介護現場で実践することを提唱して、3時間という時間を感じさせないくらい楽しくわかりやすい研修が終了しました。

講義の感想

認知症ケアの重要性が叫ばれる中、ワタミの介護が本当に専門的な介護方法を真剣に学び、現場に普及させようと努力していることが実感できました。

今回のような研修は、碓井課長をリーダーとして3年間にわたって実行してきたプロジェクトの結果とのこと。研修内容は、脳機能、心理学、科学的評価尺度を取り入れることで、先進的かつ効果的な内容だと感じました。

実際に現場で徹底して普及していくのはこれからだと思いますが、講師をはじめ本社の担当者の皆さんの真剣な姿勢を見て、今後確実に効果を挙げていくだろうと思います。

ワタミの介護の施設ホームは、数施設ホーム見学させていただいたことがあり、食事に対するこだわりと、働く職員の皆さんや入居されている方達の明るい雰囲気は知っていたのですが、今回の研修を見学させていただき、認知症介護をはじめとして、最も重要な専門的な介護の質、介護専門職としてのプロフェッショナルとしての意識についても、大きなこだわりを持って取り組まれていることが理解できました。

ワタミの介護の皆さん、ありがとうございました。

これからも益々介護の質を上げていってください。期待しています。

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